介護保険制度のしくみ

介護保険制度ってなんか言葉からして難しそうな感じね? 実際にちょっとしくみを調べてみたけど、いまいちよく分からなかったわ。

なるべく分かりやすく解説してくれないかしら?

じゃあなるべく簡単にしくみを説明するね。 まず、介護が必要になった人が介護サービスを受けるには当然お金がかかるよね。

その介護サービスを受けるために必要な費用のうち9割を市区町村が払ってくれるという制度(システム)が介護保険制度だよ。

なるほど、健康保険の介護版ということね。
そう! 介護を受ける人(利用者)は1割の自己負担額を支払うだけで、介護サービスを利用できるんだ。
利用者にとってはありがたいけど、9割を払う市区町村はたいへんね。
うん。だけど、本当に市区町村が9割を払っているわけではないんだ。市区町村を通して介護サービス事業所に支払われているだけで、財源(お財布の中身)は市区町村のものではないんだよ。

市区町村は「保険者」といって介護保険制度を運用している立場ということなんだ。

え、そうなんだ。 じゃあ誰がお金を出しているの?
お金の出どころは、被保険者から集めた保険料が50%、公費から50%で、公費の内訳は国25%・都道府県12.5%・市町村12.5% ということになっている。

被保険者とは国民のことで、介護保険の財政の半分はもともと我々国民が保険料として納めたお金なんだ。(被保険者という言葉の意味は、保険に加入している人、保険を受けている人という意味になります。保険料を納める義務があります。)

え!? 私はそんなの払った覚えはないけど・・・
それは君がまだ40歳になっていないからだね。被保険者は国民全員ではなく、40歳以上の人が対象になるんだ。
そうなのね。40歳になったら、どうやって払うの? 口座引き落としとか?
会社員として給料をもらっている人なら、毎月給料から天引きされるんだ。それ以外の自営業者などは、自分で金融機関に支払いに行かないといけないね。

40歳と39歳で給料の総額が同じなら、40歳の人の方が手取り額は少ないということになるね。

シビアねぇ。40代って一番お金がかかりそうなイメージがあるけど・・・
子供の教育費とか・・・

会社を退職した60代の人たちはどうなるの?

うん、まず40歳以上65歳未満の人を第2号被保険者、65歳以上の人を第1号被保険者というんだ。

第1号被保険者は公的年金などから介護保険料を天引きされるわけ。

なるほど、保険料の支払い方も変わってくるわけね。
うん。それに第1号と第2号では、支払う保険料額が違ってくるんだ。

どちらが多く払うかというと第2号被保険者(40歳~65歳)。文字通り、現役世代がこの介護保険制度を支えているわけだね。

介護保険の財政構成のしくみをまとめるとこうなる。

第2号被保険者
(40~65歳)
第1号被保険者
(65歳以上)
都道府県 市町村
32% 18% 25% 12.5% 12.5%
なるほど。でも、国・都道府県・市町村が払っている公費も、もともとは私たち国民が払っている税金よね? 所得税、消費税、法人税とか・・・

そういう意味じゃ、私も少しは介護保険制度のためにお金を払っているということになるわね。

その通り! 保険制度はもともと弱い立場の人、困っている人を助けるための制度なんだから、国民みんなで負担して支え合うのは当然だよね。

社会全体で弱い立場の人を支える制度が社会保険制度で、介護保険制度はその社会保険制度の中のひとつということなんだ。

よくわかったわ。安心して老後を迎えるためには、こういった制度は欠かせないわね。
そうだね。でも最近は介護保険も財政状況が厳しくて、制度はこのままでいいのか議論がいろいろ出ているんだよ。

この辺りはまた別ページで説明していこう。

5分で読める介護保険のしくみ まとめ

介護保険制度は、社会的に弱い立場である介護を受ける人を社会全体で支える制度です。
具体的には介護保険サービスの財源を被保険者(40歳以上の国民)と行政(国・都道府県・市町村)で分担して負担します。