柔道整復師とは

確か柔道整復師の資格を持っていれば、機能訓練指導員になることができるのよね?
そう!機能訓練指導員は介護現場で重宝される職種だから、柔道整復師はオススメの資格だね!
でも私、その柔道整復師について全然知らないわ。名前に柔道って付いてるから女性の私には何か怖いイメージがあるし・・・ 詳しく教えてくれるかしら?
わかった。柔道整復師とは簡単に説明すると接骨院(整骨院)の先生になるための資格だよ。まれに接骨医という呼び方をする人もいるけど、医師ではないからね。

この資格を持っていると、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷(筋肉の軽い損傷)の治療を行うことができる。このような内容の治療が許されているのは、医師以外では柔道整復師だけなんだ。

ああそうなのね。接骨院かぁ。私も腱鞘炎になったときにお世話になったわ。あの先生たちのことを柔道整復師というのね。
柔道整復師は平成元年から国家資格となったんだ。

そして、そのときから接骨院や整骨院での施術には健康保険が適用されることになった。つまり患者は捻挫や打撲、筋挫傷といったケガを負ったとき、接骨院で治療を受ければ、窓口での支払いは一部負担金のみで済むということなんだ。

そうそう!私も何度か通ったけど、お金の負担はほとんどなかったから助かったわ。

今は超高齢化社会でお年寄りが多いから、いろいろな身体の痛みを抱えている方が多いはず。そんなときに、お金の負担の少ない接骨院で治療ができたらお年寄りも助かるわね!

これからもっと接骨院が増えればいいのよ!

ところがそういうわけにもいかないんだ。
え!? どうして?
柔道整復師は開業権があることが魅力の資格なんだけど、平成10年以降に養成施設がいっきに増えて、有資格者も激増したんだ。

その結果、今はどこの地域でも接骨院が乱立して、1軒あたりの接骨院の収入がガクンと落ちている。

このまま、接骨院が増え続ければ多くの柔道整復師の先生が生活できなくなってしまうよ。

そうなんだ・・・ でも私は養成施設が多いことは反対じゃないな。柔道整復師が多くても需要と供給の関係で、レベルの低い先生は自然淘汰されて、レベルの高い先生(接骨院)だけ生き残ればいいんじゃないかな。
君・・・ 厳しいね。
でも機能訓練指導員の例でもあるように、柔道整復師は接骨院以外の職場でも活躍できるのよね?
そう!柔道整復師の柔道整復術はいろいろな場面で活用できるから、活躍の場もたくさんあるんだ。

特にこれからは介護業界での活躍が期待されるね。

柔道整復師の活躍の場と仕事内容

柔道整復師が介護現場でも活躍できることはわかったわ。次は、どういう職場でどういう風な仕事をしているのか教えて欲しいわ。
OK。じゃあ職場毎に分類して説明しよう。

接骨院(整骨院)で勤務する柔整師や開業柔整師の場合

・業務のほとんどが、患者のケガに対する施術。ただ、施術内容は各柔整師によってバラつきがある。これは接骨院に訪れる患者の大半が、原因の特定されにくい軟部組織の損傷(腰やひざなどの痛み)のため。絶対にこれという治療理論がないのが現状。

・それ以外の業務は、受付、患者の誘導、レセプトの入力・管理、保険請求など。どれもそんなに難しい業務ではない。

介護施設などで勤務する柔整師の場合

・機能訓練指導員として働く。機能訓練指導員はデイサービスや老人ホームなどで、利用者の方の筋力・身体機能の維持・強化を目的とした運動を指導するのが仕事。実際に手取り足取り運動の指導をしたり、ストレッチやマッサージなど直接身体に触れて施術することも多い。

・他には、移動や食事の介助など介護業務も行う。通常高齢者の方が一日中機能訓練をすることは考えられないので、こういった介護業務も柔整師としての仕事。

・介護施設で勤務する柔整師には、医療の知識や技術だけでなく、介護や福祉に関する知識・技術も求めらる。

スポーツトレーナーとして勤務する柔整師の場合

・フィットネスジムなどでスポーツトレーナーとして勤務する場合は、トレーニングの指導が業務になるが、医療系の国家資格保有者として単なるトレーニングの指導だけではなく、コンディショニングの見地からも専門性の高いアドバイスが求めらる。

・スポーツチームに所属するトレーナーの場合は特にメデイカル面を担当するトレーナーとして働く場合が多い。具体的には練習後の身体のケアやケガを抱えている選手のリハビリ、試合中のケガに対する応急処置、テーピングなどの補強施術など。実力が全ての世界なので、認められればプロスポーツのチームのトレーナーや一流選手の専属トレーナーとして活躍できる。

・最近では、アーティストなどのコンサートに帯同する専属トレーナーなど活躍の場は様々。

整形外科や病院で勤務する柔整師の場合

・医師の指導の下で患者の後療(リハビリ)のお手伝いを行う。また、接骨院などに比べて骨折や脱臼などの急患が多いので、そのような患者の整復(折れたり抜けたりした骨をもとの位置に戻すこと)を手伝うこともある。

・医療の経験を得るためには最も適した職場なので、キャリア形成のために勤める柔整師が多い。

なるほど、プロスポーツのトレーナーにもなれるのか・・・ どこで働くかはその人次第ということね。いろいろ説明してくれてありがとう。でも、まだ2点柔道整復師についてわからないとこがあるわ。

なぜ平成10年から養成施設が急増したのか。

柔道整復師という名称と「柔道」は関係があるのか。

この2点が疑問なの。教えてもらっていいかしら?

うん。じゃあそれぞれ別のページで説明するね。

平成10年から養成施設が急増した理由は 「柔道整復師の将来性」 のページを見てください。

柔道整復師と柔道の関係については 「柔道整復師と関連のあるマニアックな情報」 のページを見てください。こちらはたいへんマニアックな内容なので、興味のある方だけどうぞ。